マクドナルドにて、注文しようとカウンターの前に立った途端「ただいまお飲み物の販売のみとなっております」と言われ、どきっとする。あんこパイは??とおもう。あんこパイ食べにきたんですけど。あんこパイ。売ってないのか、じゃあアイスコーヒーを、あんまり飲みたくないけど、せっかく来たんだし、「あっ、あんこパイないなら、じゃあ、いいです……」と言って帰るのがなんか恥ずかしくて、いや、もともとコーヒーを飲むつもりで来たので全然お飲み物の販売のみで構わないですよ、という顔でアイスコーヒーを注文して、気が動転してしまってミルクとガムシロップ?いらないです、と言ってしまった、ガムシロップ、本当は欲しい、苦い、ブラックコーヒーは、地獄の汁のような味がする。苦行だ、と思いながらすする。全然おいしくない。でも「…やっぱりガムシロップください」というのが恥ずかしくて、大人なんだから、コーヒーもブラックで楽しめるようにならないと、と思い、我慢して飲む。地獄の汁のような味がする。苦い。全然おいしくない。俺は何やってんだろう、とおもう。
すると隣に座った女の子があんこパイを持ってきてて、あれ、お飲み物の販売のみではなかったの、とおもう。謎。聞き間違いだったのか。でも誰にも聞けない。「さっき、お飲み物の販売のみっていわれたんですけど、あんこパイはあるんですか」ってききたい。でもなんか恥ずかしいのだ。「あっ、この人コーヒー飲みに来たんですって顔してたのに本当はあんこパイ食べたかったんだ」と思われるのが、恥ずかしい、きょう「なんか恥ずかしい」ってずっと言ってるけど書きながら思うけど全然恥ずかしくないとおもう。堂々としてればいいのに、頭では分かっているのに、でも、僕は恥ずかしいと思ってしょうがない、あんこパイを食べたい男は、ガムシロップを欲しがる男は、それを隠そうとした男はかっこ悪い、恥ずかしいと思ってしょうがないのだ。
コーヒーをすする。苦い。全然おいしくない。正直に生きない人間への文字通りの苦汁という感じ。